悲しい時ー、悲しい時ー、
僕はオタクのTwitter、ブログ、インスタ等を読むのが好きだ。オタクの文章には一人一人の感情、思考、人間性がほかより詰まっている気がして。知り合いでも同じジャンルのオタクでもなんでもなくても、推しへの思いを思うままに書き綴った文章を飽きもせずに読んでしまう。
ただつい先日、日本中の推しが絶え間なく流れてくるTwitterのTLを見ている時に1つ胸を突く投稿を目にした。
「オタ卒するので生写真、うちわ、缶バッジ、ペンライト、タオル等グッズ配布します」
その人と仲が良かったりはせず（なんなら話したこともない）ただTLに流れてくる、昔からその子を応援していただけのオタク。何も特別なことなんてないのに、どうにもその言葉と、管理の行き届いた新品同然なグッズの写真はどこか僕に寂しさを感じさせた。アイコンをタップして少し遡ってみると、オタ卒の理由は「リアルが忙しくなってきた」ことのようで、そこにネガティブな感情は無くむしろ次へ向かう爽やかさすら感じた。
この人は止まっていた訳でもないけど、進んだんだな。
何も知らないくせにそう思った自分を嫌には思わなかった。心からそう感じたからだろう。新しく好きになる人もいれば、背を向ける人もいる。アイドルに限らずカルチャーにおいては当たり前の光景で、知らない人のそれにいちいち一憂する必要は全くない。ただ「僕はいつまでドルオタなんだろう？」、胸の中に疑問は小さく渦巻いた。僕は人より早くからアイドルというものに出会ったと思うし、普通の人より強くハマっていると思う。アイドルへの熱は冷めていないし、今はアイドルを中心に過ぎる時間を生きている自覚がある。でも、それが永遠なのか？もし推しが卒業した時、グループが解散した時、時代の波が飲み込んでいった時、一気に冷めてしまうのだろうか？ある日を境にいきなりどうでも良くなってしまうのだろうか？僕もグッズを売ったり、処分する日が来るのかな？
考えても答えが出るわけはないし、余計鬱屈な気持ちを助長させるだけだと分かっていても、きっと昔からどこかにあった「それ」は、ひょんなことをきっかけに唐突にその色を表す。 女性アイドルの寿命は儚く短く、念願のメジャーデビューや歌番組、ライブを迎える時と同じくしてその寿命を迎えるメンバーもいる。アイドルはいつか終わりが来てしまうもので、ほとんどのオタクはそこから目を背けて今を生きている。
アイドルへの興味を持たない人は 「なんで付き合えもしない、話せても1回に数十秒の子にそこまでするの？」と思うかもしれない。「グッズ買っても、卒業したら置物になるじゃん」と思うかもしれない。それは正論になり得ると僕でも思う。でも、それは違うと言いたい。
「本当は永遠ならいいけど、永遠じゃない。永遠じゃないからこそ、永遠よりいいものになれる」
これは≠MEの映像特典でメンバーが作文を書いた時、リーダーの蟹沢萌子が「≠ME」という題名で発表した作文の中にある言葉である。
「アイドル」のほとんどには終わりがあって、それは有名なアイドルのメンバーでも多くの場合10年にも満たない時間で訪れる。その後芸能界に残らず、一般人として生きる道を選ぶ子達だっている。厳しいオーディションを勝ち抜いて、鳴り物入りで結成したグループが数年で解散することだってある。「アイドル」というものはとても不安定な物だ。
だからこそ、彼女達がアイドルとして過ごせる短な時間が少しでも良いものになってくれたら。と僕なんかにも感じさせてくれる存在が彼女達だと思う。好きだとか恋だとかそういうのじゃなくて、彼女達が素晴らしくアイドルとして過ごせるように。彼女達が最後、飾られた綺麗な花道でアイドルを終われるように。その時に見た景色の端っこに自分がいたら。
少しでも貢献できていれば、一瞬でも僕が写っていたのなら僕は幸せで、ドルオタ冥利に尽きる。きっとオタ卒を迎える時も後悔なく終われるのだと思う。
だけど、まだ僕はドルオタを終わる気はないし、僕のドルオタ人生はまだ始まったばかりで終わりが見えないこれからへとずっと続いていく。周りにドルオタがいなくたって、冷たい目を向けられても、名実ともに大人になる日が来たとしてもまだ続けてたい。きっと、もっと凄くなっていくみんなを見届けたいし、夢を見てこれからアイドルになっていくみんなにもきっと出会えるから。
もう少しで今年も終わる。僕をアイドルと出会わせてくれたあの子が卒業してから少し落ち着いてしまっていた僕にまた火をつけてくれる、そんな輝きを持った子達に出会うことが出来た1年だった。今年頑張ってくれたアイドルのみんなが来年もっといい年になるように アイドルから新しい道へ進んだみんなが前へ進んでいける1年になるように
アイドルと出会える人がもっと増える年になるように
そんな1年になってくれれば、日本中のアイドルオタクにとってもこれ以上ない幸せで
なにより僕がアイドルオタクを続ける理由になるから。
涙滲む手紙を 今 羽ばたく君へ
今 見える花道は 君の努力で出来た
道は続く 永遠に裏切らない
今日までの「ありがとう」をこの歌に乗せて
ずっと大好きだよ
